製図試験の過去問をチェックしたい。ついでにポイントとなる部分を併せて解説もして欲しい。
この様な方向けに記事を書きました。
この記事の内容⬇︎
・平成28年度の過去問と正解プランを確認
・平成28年度の過去問のチェックポイントを解説
・失敗例を併せて解説!!
筆者は2017年度の2級建築士試験に学科&製図両方共独学で1発ストレート合格する事が出来ました。その経験からH28年の過去問のポイントを独学者の方にも分かる様に解説します。
資格試験は過去問を理解する事が合格へ繋がります。設計製図試験もしっかりと過去問を解き、力をつけましょう。

平成28年度の過去問と正解プランを確認
まずは課題建築技術センターに載っている問題を確認しましょう。
建築技術センターから抜粋
こちらがH28年の問題になります。毎年こういった1枚物で出題されます。見慣れない方は『なんだか難しそう』と思うかもしれませんが大丈夫です、だいたい同じ様なパターンで構成されていますので慣れると徐々に読み易くなっていきます。
課題の解答例⬇︎
課題を読んでその内容を図面に落とし込んで行く必要があります。その流れを解説して行きます。

平成28年度の過去問のチェックポイントを解説
それではプランしていく上でのポイントを解説していきます。
1.設計条件(1)〜(4)で大まかなイメージを掴む。
まず設計条件では大まかなイメージやコンセプトを掴みましょう。

ポイント⬇︎
・土間スペースのある週末住宅
・友人を招く
・南側の景観を眺望
・居間に吹き抜けを作る。
・居間は土間(多目的スペース)と隣接させる。
・160平米〜190平米で計画
・ピロティ〜屋外駐車場、平米数に参入しない物の確認。
・家族構成(夫婦+小学生)
・敷地は北面道路→北側に駐車スペースを確保する。
この様なポイントが見つかりました。
まずはこの時点で『友人を呼べる別荘で南側の綺麗な景色を活かす為に吹き抜けの居間を南側に持ってきて、更に土間スペースと隣接させて機能的にも充実した空間を演出したいんだな』とぼんやりとプランをイメージしましょう。
1.設計条件(5)〜(6)で具体的な条件を確認する。
具体的な条件を確認しましょう。かなり細かな条件が書いてあり困惑しそうです。条件を見落とさないようにチェックしながらマーカーをしましょう。
まずは建物の配置を考えます。
土地は16m×16mの正方形です。
条件から南側にテラス、北側には駐車場が必要です。
また、居間やLDK、ゲストルームなど南側に配置したい部屋が多い事から『東西に長細い建物を建てる事が望ましそうだ』という仮説を立てます。
建物の配置計画⬇︎

東西に広く計画したいので両サイドに一マスずつスペースを空けて配置(東は一マス+半端分) →15マスのスペースを使える。
次にゾーニングをしていきます。
専門用語が出てきましたが心配しないでください。要は東西南北を決め、仮説を立ててザックリと部屋の配置を決めていく事を言います。
ポイント⬇︎
【1階】
まず南側に来る部屋を決めます。
・居間
・ゲストルーム
・LDK
・土間(南側へ配置する指示は無いけと、居間に隣接とある為、南側で隣接させるとより良いプランができそう。)
続いて北側に配置される部位。
・土間(玄関スペース)
・屋内駐車場
・階段
・トイレ
※土間スペースを南から北までの大きく使うと良さそう。
【2階】
南側に来る部屋は
・夫婦寝室
・吹き抜け
・浴室
・子供部屋
続いて北側に配置される部位。
・トイレ
・階段
・納戸
※南側に欲しい部屋が集まり過ぎてるので子供部屋を北側に持っていくことも考慮する。
こういった条件から配置します。⬇︎
1階

2階

この様にスケッチで頭の中のぼんやりとしたイメージを形にしていきましょう。
『やはり南側に部屋数が多いので子供室を北側に持って行くしかない』という判断をいかに早く出来るかがポイントです。
エスキスを完成させる
ゾーニングを元にエスキスを完成させましょう。フリーハンドで描いていきます⬇︎
1階は屋内駐車スペースとゲストルームを南北に張り出す様にしました。足りない分は付け足す事で補いましょう。
完成したエスキスを元に図面を作成開始します。ここまでを1時間以内に終わらせる必要があります。製図試験は時間との戦いです。
要求図書(1)〜(9)で必要な図面を確認する。
要求図書は問題用紙の右半分です。『具体的にこれを描きなさい!!』と指示されているものです。
色々書いてますが、毎年ほとんど同じ事が書かれているので見慣れてくれば理解する事は簡単です。
しかし、しっかり見ておかないと失敗する事になります。毎年要求図書を見落として不合格になる受験生が居ます。
毎年だいたい同じだからこそ、いつもと違うポイントを見つける事が大切です。


今年のポイント⬇︎
土間を含む部分を描く指示がある。
(6)の部分詳細図に土間を含む部分をカットする⬇︎

部分詳細図に土間をしっかりと描く事⬇︎

居間の吹き抜け及び開口を含む部分と指示あり。
(5)の断面図に1階の⬇︎吹き抜け+窓がある箇所を選ぶ。

(1)(2)の平面図にシャッターを描く指示がある。
シャッターを描く(一点鎖線)⬇︎

(1)(2)の平面図に玄関、土間スペースと屋外テラスに2.5メートル以上の円(破線)を描く指示がある。
円を描く⬇︎

(1)(2)の平面図に屋内自動車車庫の地盤面からの高さと居間の床高を記入する指示がある。
図面に高さを記入⬇︎

H28年度の課題はこの5つのポイントを押さえておけば大丈夫でしょう。忘れると大きな減点になりますので気をつけましょう。

失敗例も併せて解説!!
やってはいけない失敗例を解説します。これをやったら不合格だ!!
南側に部屋を持ってくる事に固執した例です。
不合格の例⬇︎

不合格の理由⬇︎
①2階全体が細長い。
長辺と短辺の比を1:2以内に抑えましょう。耐震上不安でだとみなされます。
②土間が南面していない。
多目的スペースとしては日当たりが悪く使いづらくなっています。やはり、南側のテラスに繋がる動線が欲しい所です。
③LDKが小さい。
これだけで不合格にはなりませんが、8畳以上はないと建物の大きさからしても不十分です。
④廊下が無駄に長い。
まとめ
重要なポイントを整理しましょう。
①土間の有効な使い方を考える。
→『南北に広く配置して南側のテラスと一体に利用できる様にする』という発想が出来るか。
②屋内自動車車庫の設置。
→車庫から室内への動線が利用しやすい様に土間に繋がるようにプランできるかが鍵。
③2階の普通なら北側に配置する浴室を南側に配置する指示。
→子供部屋を北側に持っていく発想を持てるか。
この3点が思い浮かぶかがポイントでした。
僕としては割と難しいと感じました。別荘の事なんて普段あんまり考えませんからね。
この様に知らなければ、別荘について新しい知識を取り入れていく事が非常に大切だと感じました。
それでは今回は以上です。ありがとうございました。