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ノーリツが住設機器事業を撤退した理由を解説!!こだわりの商品が売れなかった理由は?

2019年11月27日株式会社ノーリツが住設システム分野から撤退し、システムキッチン、システムバス、洗面化粧台の開発・生産・販売を20年6月末で終了すると発表されました。

また、同時にリストラを決行、その数は600名(従業員3000名中)約2割の従業員が辞めさせられます。

事業撤退となると粗悪な商品を作っていたのか?と思われますがノーリツの商品は知名度は低いものの、良い商品が非常に多かったと思います。

その商品の紹介となぜ売れなかったのかを解説します。

筆者は住設備機器業界で9年の実績がある建築士です、その経験から確かな情報を執筆しました。

ノーリツのユニットバスは業界随一のこだわりの良品ばかり

ノーリツのユニットバスは業界の中でもノーリツしかない素晴らしい商品がたくさんありました。

①お掃除浴槽

ボタン一つで掃除からお湯張りまでを一貫してやってくれる優れた機能が搭載。

※スマホで外出先からでも操作可能

②出窓で浴室拡張

出窓仕様のユニットバスで増築無しで狭い浴室を広げる事が可能。

③硬度8H傷が付きにくい硬い床

硬度8Hの傷が付きにくい硬い床です。

ダイヤモンドで10Hになりますので、かなり硬いです。

きちんと掃除をしてれば15年後使った床でも新品みたいに見えます。

④ユニットバス全体断熱仕様

ユニットバス全体が断熱仕様になっているので暖かいです。

※他のメーカーはオプションになっている。

⑤壁柄を5000万点以上の中から選べる。

業界最大手のメーカーでも通常は40種類程度が限度です。

非常に種類豊富です。

※一時は自撮りの写真を壁柄にできるサービスを行なっていた。

以上、こだわりの5点を紹介しました。ここまでこだわったユニットバスは他の業界トップのメーカーでも見られません。

ノーリツのキッチンもこだわりがあった

リフォームに最適、間口ぴったりに収納を1㎝刻みでオーダーできます。

※業界唯一

キッチンも素晴らしい商品です。本来にこだわった商品を作っています。

ノーリツ商品が売れない理由①マーケティング力の無さ

良い商品を販売しているのに売れないのはマーケティング力の無さであると言えるでしょう。

お掃除浴槽は活気的ですが、世間的な認知がされなかった。

また、値段が高すぎてユーザーに選ばれなかったと言えます。

出窓拡張はリフォームメインの商品ですが、そもそものサイズバリエーションが少なく、1216からのサイズアップしか出来なくて使える現場がかなり限定的になります。

施工も難しく実際に販売するリフォーム店や、工務店から敬遠されがちでした。

壁柄も多すぎて逆にユーザーが迷う事になってしまっていました。

浴室の壁柄にそこまで拘る人は少数派です。

むしろ、お勧めはこれです!と勧めて貰いたい人の方が多いんです。

ショールームのコーディネーターも迷いながら接客していたのが目に移ります。

ノーリツの商品が売れない理由②営業マンの教育不足

リフォーム商材はエンドユーザーが好きな商品を決めて購入するよりも、リフォーム業者や工務店から勧められる商品を購入する事の方が多いです。

高級キッチンならこだわりを持って探すでしょうが、普通のキッチンで良い方が大多数です。

なので、商品が売れるには営業マンが代理店に対して商品を採用して貰えるように営業をする事が必須です。

しかし、ノーリツの営業マンは住設機器販売に慣れていない社員が多くどうやって売れば良いのかまったくさん分かっていません。

リフォーム現場ではユニットバスが入るかどうか?狭い現場も多いので部材搬入するのに開口部はどのくらい必要か?

など打ち合わせが必要になってくるケースが多く発生しますが、ノーリツの営業マンがその辺りの現場知識を持っている方がほとんど居ません。

リフォーム店や工務店の方からすれば現場打ち合わせも出来ない様な商品は怖くて販売出来ない、となってしまうんです。

改善しようにもノーリツの社員にこの辺りの知識を持っている人がほとんど居ませんので研修を行う事が出来ません。

たまに勢いのある社員がゴリ押しで売ってきますが、現場トラブルに対応出来ずに結局信頼をなくして売れなくなっていきます。

ノーリツ商品が売れない理由③販売台数が伸びずに価格競争で脱落

元々あまり売れていないので台数が伸びず、工場の稼働率も悪くなっている為に価格を安くする事が出来ずに競争から脱落しています。

とくにLIXIL(旧INAX)がかなり安い値段で販売しているのでまったくかなわず、手も足も出ない状態です。

結果、人件費や設備の維持管理に費用が掛かり赤字になっています。

まとめ

ノーリツが住設機器撤退に追い込まれたのは技術者が好きな商品を作り、販売手法をまったく考えていない点にありました。

『いつも給湯器を販売しているんだから、そのついでに売れるだろう』

という甘い考えが招いた結果です。

良い商品なのに勿体ないですか仕方ありません。

この様に商品を販売する時は販売方法をセットで考えていきましょう。

というわけで今回は以上です。